パロってパロる

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『俺達はきっと忘れない。』

珍しく雨宮広斗が収集掛けた。集合場所はITOKAN。
メンバーは来てからのお楽しみにしよう。

「今日は突然呼んで悪かったな。」

広斗がそう言った。
集まったのは雨宮兄弟は勿論、RUDEのタケシとピー、MWのバーニーとパール。俺達山王では俺とノボルとチハルが『メンバー』だ。

俺達は普通とはまた違うグループを立ち上げていた。その名は

メカクシ団

と言っても実際立ち上げたのは龍也さんらしい。俺達が知らないところで雨宮兄弟とRUDEのピーを世間から隠すように、でも世界を嫌わない様にと作ったらしい。

世間から隠したのには理由がある。

俺達が『普通』ではないからだ。
つまり能力者。

メカクシ団団長雨宮広斗は『目を隠す』。透明人間というわけではなく限りなく存在感を薄くする。というのが正解だろう。その為、誰かに触れていると大丈夫らしい。許容範囲は大きく、本気を出せば一軒家は軽く薄くできるらしい。見える人に触られれば能力が解けてしまうのがネックだ。

団員ナンバーNo.2、雨宮雅貴は『目を欺く』。他人に本当の自分の姿を偽る事が出来る能力。言うならば雅貴が広斗に見える、ということ。だがその人の姿、香りがハッキリ脳内に浮かぶ位にしないといけないのでめんどくさいらしい。許容範囲が広斗と違って物凄く狭く自分にしか掛けられないらしい。痛みに弱く、叩くや転ける等の痛みを感じた際にはすぐに能力が解けてしまうのがネック。

団員ナンバーNo.3、ピーは『目を盗む』。人が口に出さないで思っている事が全て脳内に直接聞こえるらしい。いいこと悪い事。全て聞こえてくるため本人は物凄く嫌っている。滅多に使うことは無い。

団員ナンバーNo.4、タケシは『目を合わせる』。どうやら本人曰くメデューサの末裔らしく石に変えてしまうらしい。使う度に激しく苦しい咳と吐血に悩まされるらしい。だが調節できるらしく軽く数分間動きを止める位なら大丈夫だから本当にキレた時は使っている。タケシにとってピーは命の恩人らしい。

団員ナンバーNo.5、バーニーは『目を奪う。』どんなに些細な事でもすぐ気付かれて話し掛けられたりする能力。広斗とはまるで反対。本人はそれを生かし、DJをやったりしてクラブを盛り上げていたがいつ頃からかこれは本当の人気ではないと気付いて危うく人間不振になりそうになっていたところを雨宮兄弟に救われたらしい。今では人間不振どころかよくタケシにちょっかい出して固められてる始末。

団員ナンバーNo.6、ノボルは『目を覚ます』。一見普通の人の様にも見えるが実は不老不死。電脳少年いや、電脳少女がいいのか、ネットやスマホに入れば何故か女の子になる。それも可愛い少女。頬に鉄の板を付けている元気な活発な女の子。よく俺のスマホに入り込み色々教えてくれる。その間ノボルの体はまるで死人の様に中身が無くなり倒れる。傷付けないようにするのが大変だ。

団員ナンバーNo.7、俺コブラは持っていない。だが一度見たことは一生忘れない。脳に焼き付けられる。何故なのか、いつからそれが能力なのかは全くの不明。

団員ナンバーNo.8、チハルは『目を凝らす』。その物や場所の先が見える。つまり千里眼の力の力を持っているが詳しくは不明。何故かヤマトが何度も何度も死ぬ所を見たらしい。夢の中で。

そして最後が団員ナンバーNo9、パールは『目を醒ます』。詳しくは不明だが物凄い力を持っているようで扉をねじ曲げたり床を抜いたりする。

の9人。能力のせいで苛められた奴だって当然いる。
それでも一人じゃないから何度だって立ち上がったり助けあったりもして現在に至る。

「で、集めた理由はなんだ？下らない事なら殴るぞ」

俺が言うと雅貴がまぁまぁと言った。

「焦んなって、龍也についてだよ、」

「え？龍也についてなんか分かったの？」

ピーが不思議そうに言う。龍也さんは三人にとっては兄の存在。俺からしたら呼び捨てなど考えられないことだが兄なら仕方がない。

龍也さんは死んでしまった。九龍の奴に殺された。

「…龍也は自ら死のうとしてた可能性が高いんだ。」

広斗の言葉で皆黙りこんだ。

どういうことだ。

「ノボル、例の出してくれ」

「了解です！」

ノボルは俺のスマホから自分が使っていたPCに移動して何かの資料を出した。
見てみると『蛇』やら『願い』など難しい。だいたい蛇ってなんだ。

「この蛇には何かがあってこの蛇が揃えば何かが起きたことは間違い無いだろう。」

「つまり、もし龍也がその何かを持っていたなら集まらせないように自殺しようとしてたところ九龍に殺られたって事ですね」

元気なノボルが珍しく静かな声で言った。

「蛇は能力。」

「「「え？」」」

「蛇は能力のこと。お前達の。」

タケシが急にポツリと言った。

「おいおいまじかよ…。俺ら危なくね？」

バーニーが冷や汗を流した。

「…多分大丈夫です！龍也がいなくなったんで蛇は揃いませんっ！」

俺達を元気付ける様にノボルが大きな声で言った。

「そうだな。感謝しよう。」

広斗がふっと笑う。
皆安心したらしいけど俺はあまり腑に落ちなかった。